沖神小説

ぽと


「あぁぁぁあああ！！」


酢昆布が落ちた！と神楽が騒いでいた。

その近くのベンチでサボ・・・休んでいた沖田は何事か、と近寄る。


「どうしたんでィ、近所迷惑でさァ。静かにしろィ」

「む・・・っ無理ヨ！だってコレ、お前・・・最後の酢昆布・・・・・・・！」


今にも泣くんじゃないかというような声で言い、神楽は座り込む。

公園にいるのは神楽と沖田だけ。

だけどもし人が通りかかれば沖田が泣かしたものだと思われるだろう。


無い罪押し付けられるのは心外だ、ととりあえず神楽に声をかけてみる。


「そんなもん、また買えばいいだろィ」

「もうお金ないヨ・・・」


そういった神楽からはもうこの世の終わりだ、とばかりに負のオーラがにじみ出ている。

しょうがない、そう思った。


「・・・これで、新しいの買いなせェ」


千円札を神楽に差し出した。

すると神楽は顔を上げた。


「え・・・いいアルカ？」


ん、といって肯定してやると笑顔で言った。


「アリガト！沖田」


あぁ、名前知ってたのか。

つかコイツに笑顔向けられんのはじめてかも。


「ん、どういたしまして」


神楽は立ち上がり歩いていく。

その足取りはとても軽く、ヘタな鼻歌を歌っていた。



「こんど、なんか食い物奢ってやるか」


またあの笑顔が見られるなら。